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  12/02/09   時間旅行ムナカタ第10回「幻の宗像郷土館〜中編〜」

時間旅行ムナカタ

時間旅行ムナカタ 第10回

幻の宗像郷土館〜中編〜



2012年1月15日

 今から約70年前、当時、地方の歴史資料館の先駆けとして開館した宗像郷土館。前回は、郷土館開館までを田中幸夫先生の尽力を交えて紹介しました。しかし、残念ながら開館から10年余りで閉館してしまいます。貴重な郷土資料が収集・展示され、田中先生や郷土館建設賛同者の熱い思いが詰まった郷土館は、なぜ10年余りと短い期間で閉館してしまったのでしょうか。今回は、郷土館開館後から閉館までの流れをたどってみます。

4000点に及ぶ郷土資料

 1938(昭和13)年に開館した宗像郷土館に収集・保管された資料は開館後も増え続け、閉館までに考古、古文書、写真など4000点余りに達しました。 開館当初の郷土館資料目録によると、これらの資料は田中先生が収集したものだけではなく、多くの資料が宗像の地域住民から寄贈されています。資料には重要なものも多く、当時、これらを目当てに多くの来館者が訪れました。

田中先生、浮羽へ帰郷

 着任当初からさまざまな宗像の歴史を掘り起こしてきた田中先生も、いつまでも宗像にとどまることはできませんでした。

 田中先生は、郷土館の開館から1年後の昭和14年5月に、両親がいた浮羽郡(現在のうきは市)の浮羽高等女学校へ転勤します。31歳の時に宗像高等女学校(宗高女)に着任してから7年余りを宗像で過ごしました。仕事以外で郷土館建設のために奮闘する姿や観光ガイド本「宗像の旅」を刊行するパワーの源は宗像に対する思いもさることながら、30歳代という年齢の若さがあったからかもしれません。

 田中先生はその後、浮羽でも国史跡の装飾古墳である珍敷塚(めずらしづか)古墳を発見するなど、転勤先でも活躍をしています。

郷土館の荒廃…そして廃館

 開館当初は多くの来館者でにぎわった郷土館も、田中先生が浮羽へ転勤すると次第に荒廃していきます。

 開館当初の郷土館は、田中先生が中心になって管理をしていましたが、田中先生の転勤後、郷土館の管理は宗高女に引き継がれました。

 しかし、戦後の混乱と教育改革による宗高女の移転によって、次第に郷土館は放置されるようになりました。ちなみに、郷土館があった宗高女の校舎は、宗高女の移転から1962(昭和37)年まで中央中学校が校舎として使用していましたが、そのころにはすでに、郷土館は閉館状態だったということです。窓ガラスは割れ、天井には穴が開くなど、その荒廃した様子は廃屋そのものだったといわれています。

 田中先生は、鹿児島本線を走る列車の車窓からその姿を見て、無念の思いを次のように語っています。

 「…余りにも無残な郷土館の遺がいを見せつけられては、のこるせなく悲しい。それにしても当時、将来を見通せなかった自らの不明を責める…(原文のまま)」。 郷土館荒廃の責任は少なからず自分にあったと感じていたようです。開館当初は九州屈指といわれた郷土館も、開館からわずか36年後の1974(昭和49)年ごろ、ついに取り壊されることになります。そのころには、宗高女から続いた周囲の校舎もすでに解体され、郷土館だけが残った寂しい風景がありました。

 郷土館開館から約70年余り、現在の郷土館跡地には取り壊されることのなかった門柱が今もひっそりと残っています。その姿は決して目立つものではありませんが、幻の郷土館の面影を唯一、現在に伝えるものです。

 市では、郷土館の跡地であり国史跡の田熊石畑遺跡内でもあるこの場所を、田中先生の業績をたどり、文化財保護とは何かを考える場として整備していこうとしています。


今も郷土館跡地に残る門柱
((奥が郷土館があった場所)
田熊石畑遺跡整備完成予想図(赤い丸の部分が郷土館跡)
田熊石畑遺跡整備完成予想図
((赤い丸の部分が郷土館跡)

 ところで、郷土館に保管されていた膨大な郷土資料はその後どうなったのでしょうか。郷土館の荒廃の影で、幾度も盗難や散逸の危機に遭ってきました。しかし、危機を免れ、資料の多くは今も大切に保管されています。その裏には、田中先生の意思を受け継いだ多くの人々の尽力がありました。

【次回、後編へつづく】

【(文化財職員・山田広幸)】




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