朝町から鞍手郡若宮町に抜ける峠には、周囲が4キロほどもある大きな堤があり、この池には竜神や大蛇(おろち)がすんでいるという言い伝えがあります。 ある年のこと、梅雨時だというのに途方もない日照りが続いていました。農民たちは、このままでは大切な田植えもできないとさんざん悩んだあげく、ついに池の栓を抜いて田んぼに使うことにしました。 準備万端(じゅんびばんたん)整い、若者たちが堤の栓を抜こうと池の中に飛び込みました。土手の上からは村人たちが固唾(かたず)をのんで見守っています。すると突然、空には黒雲が立ちこめ、雷鳴とともに尾が大きく七つに分かれた大蛇が池の中から姿を現わしました。池の中にもぐっていた連中は、命からがらはい上がり、村人たちは堤の栓を抜くのをあきらめ、一目散に逃げ出しました。 しばらくして、大蛇はまた池の中に姿を消し、この溜め池は大蛇の姿をうつして七つの股の形になりました。 その後、人びとは七股堤というようになり、いまだに一度も干上がったことがないそうです。