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>又ゼーとお三ぎつね
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福間の又ゼーは、生まれつきのとんち者で、村の人たちからたいへん親しまれていました。
ある日朝早くのこと、又ゼーは、村の庄屋様に従って博多へ行く用事ができ、花見松原で待ちあわせていました。花見松原といえば「お三」という悪がしこいメス狐がいて、そこを通る人をだましてはおもしろがっている場所でした。
お三は、又ゼーが「庄屋様は遅いなー」とつぶやくのを聞きつけ、「やあー又ゼー、待たせたな」と声をかけたのです。ところが又ゼー、いち早く正体に気付き、いかにもお三にだまされたふりをして、馬に乗せて博多に向かったのでした。
又ゼーは「庄屋様、せっかく博多まで行くのですから、どこかでパッと遊んでいこうじゃないですか」と語りかけると、お三はこれはおもしろいことになったとばかりに「よかろう」とニヤニヤ。
博多につくと、さっそく柳町の料亭にあがりこみ、飲めや歌えやの大にぎわい。お三は、つい飲みすぎて正体もなく眠り込んでしまいました。又ゼーはころあいを見て「わたしは用があるのでひきあげるが、勘定は庄屋様がお払いになる」と言い残し、すたこら福間に帰っていきました。
翌日のこと、庄屋様がなかな起きてこないので、番頭さんが部屋を覗いてみると、神通力を失ったお三が尻尾を出して大いびき。怒った番頭さんは、そばにあった棒でなぐりつけ、お三は命からがら花見松原まで逃げ帰ってきました。
さて、ここはお三の住み家。中では1匹の大きなメス狐が苦しんでおり、そのまわりで4匹の子狐が心配そうに見守っていました。そこに又ゼーがやってきて「やあお三、どうしたのか」となにくわぬ顔で問いかけました。
「おまえにだまされて、このとおりだ」と訴えるお三に又ゼーは「そりゃ気のどくに、そんなことではないと思って見舞いに来た。これはみやげだ」と持ってきた饅頭を投げ入れました。
ところが、お三は「これ、おまえたち、この人の持ってきたものなど食べてはならぬ、馬のクソかもしれんからな」と子狐たちに言って聞かせたということです。
「人間にだまされるな」と狐に言わせたのは、あとにも先にも又ゼーただひとりだったというお話です。
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