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長太郎ガッパの悩み
 
 宗像で一番大きな川、釣川の土手で一匹のカッパが甲羅を干していました。長太郎と呼ばれるこのカッパ、年は四百歳をこすといわれるカッパの頭領です、彼は、今日はどうしたことか浮かぬ顔して物思いに沈んでいます。それというのも今朝、宗像領を治める大宮司の館から呼び出しがあり、宮司直々に「カッパの元締めは何をしているのだ。このごろのカッパのふるまいには目に余るものがある。」と頭の皿の水がカラカラになるほど油を絞られたのです。
  早速、長太郎は、特にいたずらのひどい手光のカッパをこらしめに出かけて行きました。「手光カッパは、なにしろ素早い奴だから、俺の手に負えそうもない。ここはひとつ、人間の知恵を借りるとしよう」と彼は知り合いの庄屋に頼み込みました。この頼みを聞いた庄屋さんは作戦を練り、少量のヒマシ油を飲んで「庄屋さんが下痢で雪隠(せっちん)(便所)通い」という話を村中に流しました。これを聞いた手光カッパは大喜び。早速尻を撫でる機会を待ったのです。
  ドタドタと庄屋さんが雪隠に駆け込んで来ました。シメタとばかり手光カッパは手を伸ばしたその瞬間、手光カッパの手は強い力で握りしめられ、あっという間にねじ切られてしまいました。
  さて、その日の晩のことです。美しい女が庄屋さんを訪れ、「私の手を返してください」と頼みました。
「一度、体から離れてしまったものを今さら返してもらっても、しかたあるまい」と庄屋さん。
「私たちカッパの仲間には、立派に接ぐ方法がございます。手を返してくださるならお礼に骨を接ぐ法を教えましょう」と泣かんばかり哀願しますので、庄屋さんはこれからは決していたずらをしないよう念を押し、手を返してやりました。女は接骨の秘法を庄屋さんに伝えると、なんども頭を下げながら姿を消しました。それからは、カッパのいたずらもなくなったということです。 

文化の先生

 



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